脳も身体も柔軟であるほうが、人生は楽しいらしい。何歳になっても自分の足で歩くには、足首まわりの柔らかさが大切なんです。『楽ラク歩く』は固くなりがちな足と心を気持ちよ~くほぐしてくれる健康器具。
そんな『楽ラク歩く』の誕生には度重なる失敗と、ココチモバイヤーの熱い想いが隠されています。

ありそうで“ない”不思議な商品

『楽ラク歩く』は、その見た目から運動器具と思われるかもしれませんが、実は足を乗せるだけで足首のストレッチができる健康器具なのです。その動作はあくまでも“ゆっくりゆっくり”。まるでこのマシンを使う人のストレッチを、思い遣りをもって手伝っているかのようなのです。

動きはごく単純で、前回転か後ろ回転のみ。時間は10分か20分。速度も「速」「遅」の二者択一です。器具の動きに身を任せるだけですから、筋トレをするような大変さはありません。だから身体への負担が少なく毎日でも楽に続けられるのです。
回転スピードの「速」を選択しても驚くほど動きはゆっくり。しかし使っている間は実に心地よく、足首のまわりが徐々にほぐれ、重く感じていた足が軽やかになっていくのを感じます。そして終わってみれば、足がほんのり温かい。

実はこの器具、製造元のテクノ・マイス社では、すでに2006年からヒットしている電動式歩行マシンのシリーズなのです。高齢者福祉施設でも数多く採用され、高評価を得てきた健康器具です。

座ったままで、まるで歩いているかのように足を導いてくれる電動式歩行マシン『楽ラク歩く』。

運動神経抜群のMとHでも、体質なのか足首回りが固く、若くしてつまづきやすいとか。そのため足首まわりをほぐすことの重要性は、実感として理解していました。

この、ありそうでなかった器具に注目し、ココチモのお客様のためにさらに使いやすく改良したいと名乗りを上げたのが、中堅バイヤー・Mでした。そこへ「一緒に改良したい」と加わったのが、若手バイヤー・H。

Mは中学時代からバレーボールでならし、全国大会でも活躍した経歴を持つアスリート。Hも幼少時代からダンスを続けており、とあるCM出演経験を持つれっきとしたダンサーです。つまり、健康器具の担当者としてはうってつけの二人だったというわけです。

さっそく二人で話し合った結果、改良ポイントは「効果を感じてもらいやすくすること」、「使いやすくすること」、そして「どんなインテリアにも馴染むようにすること」という3つに決まりました。

こだわり抜いた改良の日々

「ストレッチで重要なのは負荷や回数よりもフォームですよね。正しいフォームで行ってこそ効果は最大化します。だから、足首を正しい位置に固定できれば、きっとより効果の高いストレッチができるのでは?」とダンサーならではの視点でHは考えました。

そこで足を乗せるプレートを改良し、かかとを包み込むように安定させる壁を作ることにしたのです。それからというもの、壁の厚みや高さ、曲線具合の試行錯誤が続きました。試作品を作ってはココチモのスタッフに体験してもらい、意見を聞いて改良するという作業の繰り返し。こうして、ようやく効果がより実感できると確信できる仕上がりになりました。

中敷きのサンプル。肌触りの良さと洗えることを必須条件に、さまざまな生地、硬さのサンプルを作り、ベストな一足を探りました。

ひと口に足と言っても、その形状は人それぞれです。どんな方の足でもしっかり固定できるように、ベルトの幅、長さ、マジックテープの止め具合など、徹底的に追求しました。

次に、もっと使いやすくするために操作パネルの改良に取り掛かりました。まずは操作ボタンを一箇所に集め、識別しやすくするため、モードごとに違う色に変更。ボタンの文字は極力大きくし、できるだけ見やすくなるように工夫しました。
“老若男女全ての人のためのデザイン”というユニバーサルデザインを意識した商品開発を目指したのです。

そして残るが3つめの改良ポイント、どんなインテリアにも馴染むデザインにすることでした。

「洋室に置く方もいれば、和室に置く方もいると思いますから、どこに置いても調和する色を探したいですね」とHが言えば、「ベルトの色ひとつでも印象が変わるから、アクセントとして映える色を選びたいな」とMも知恵を絞りました。たくさんの組み合わせ案を検討した結果、本体は白とブラウン、ベルトはオレンジと決まったのです。

二人の願いがとうとう形に

こうして全ての仕様が固まり、台湾で行われる本格的な製造への取り組みが始まりました。
ところが、実はここからが苦労の連続だったのです。検討に検討を重ね、こだわりを持って選んだ操作パネルのボタンやベルト、そして本体の色が、どうしても思うように仕上がってこないのです。見本の色があっても、電話やメールのやりとりで伝わらないとなると、直接台湾へ行って、その場で一緒に調整するしかありません。
MとHは、数カ月の間に幾度となく台湾を訪問し、こうした問題をひとつひとつ解決していきました。

ある時は、操作パネルのライトの点灯時間変更のために基盤メーカーへ足を運び、またある時は、金型工場に出向いて、曲面がなかなかきれいに仕上がらない原因を突き止めたりしました。台湾でも、実に多くの人がこの改良に関わり、二人の求める理想の実現のために多くの力を注いでくれたのです。

実際の作業工程を観察し、その場で一緒に細かい所を調整しました。

台湾の工場のみなさんと。無理なお願いもたくさん聞いていただきましたが、完成したときはみんなが笑顔に。

こうして完成したココチモオリジナルの電動式歩行マシン。今までの魅力はそのままに、使う人にとってより効果を感じていただきやすく、しかも簡単に使えて、洗練された器具へと生まれ変わりました。

わかりやすく『楽ラク歩く』と名付けられたこの電動式歩行マシン。そこには、「多くの人が何歳になっても楽しく歩ける日々を送ってもらいたいんです。そのためにも、無理せずラクにストレッチをして欲しい」。そんな二人の願いが込められています。

※記事の内容は取材当時(2019年)のものです